考え方の違いがありました。それは経験主義がとても強いことです。我々が「今年はこの部分を変えよう」と言うと、「去年のレースで大丈夫だったんだから、変える必要はない」と言うのです。日本のタイヤ開発の考え方との違いがあり、調整をしていくのに時間がかかりました。その調整の例をひとつあげましょう。インディのコースはスピードレンジでは低速と中高速、超高速の3つに分けることができます。ストリートコース(市街地を走るコース)、1マイルオーバル(約1.6mの楕円状を走る)、2.0から2.5マイルオーバル(インディアナポリスに代表される、距離の長い楕円状のコースを走る)とも分けられます。
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低速のストリートコースの場合、ハイクリップコンパウンドが必要で、一方の超高速のコースはタイヤの耐久性が重要です。これらのコース用のタイヤは高い製造技術が必要でしたので、ブリヂストン側が作りました。アメリカ側に作らせたのは中高速のところだけです。そういう意味で、彼ら自身も自分たちが休んでも何とかなるだろうと思っていたのかもしれません。一緒に仕事をするようになり、アメリカ側も技術力をつけてきたので、初めにストリートコース用、そして次第に超高速用を徐々に作ってもらい、最終的にインディ500用のタイヤ生産を、アメリカ側に渡しました。「俺たちのタイヤが今度インディ500を走るよ」彼らは本当に喜びました。やはりインディ500はアメリカ人にとっては特別な意味のあるレースだと再認識した瞬間でした。低速から超高速までのすべてのタイヤをアメリカ側が作るまで、共に仕事をして10年以上かかりました。国民性の違いや企業風上の違いを乗り越えて、共同で仕事をするには、忍耐力が必要です。日本流のビジネスの仕方を通すだけでは、仕事は成功しないことを学んだ例となりました。